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じまなひび

zima55.exblog.jp
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2005年 02月 03日

パイオニア

昨日、TBSの「水曜プレミアム これが世界のスーパードクター」という番組を見た。

世界で名医と呼ばれる人を紹介している番組だったんだけれども。
すごいです。ほんとに。

アメリカのフリードマンという脳神経外科医がいるのだが、この人の脳腫瘍の切除手術の技術は半端じゃない。
通常、言語中枢や視覚中枢などの大切な神経の近くに出来た脳腫瘍は除去することが難しく、下手に手術をすると言語障害、視覚障害などの後遺症を伴うらしい。
いままでこのような手術は不可能とされていたのだけれど、このフリードマン医師は後遺症もなく除去してしまう。

その方法とは「覚醒開放手術」というもの。
あたりまえだが、脳腫瘍の除去手術は麻酔をかけて完全に患者を眠らせてから除去する。
が、しかし、この「覚醒開放手術」というのは頭蓋骨を開けた後、麻酔を止め、その代わりに鎮痛剤を多用する。
こうすると患者は痛みを伴うことなく覚醒する。
その段階で、脳の表面に少しずつ電気を流す。電気を流している間に他の医師が患者に対して言語テスト、視覚テストを行う。
患者が正常な答えを出せなくなったときに電気を与えていた個所が、つまり中枢神経であるということ。
あとはこの中枢を傷つけないように腫瘍を除去すればよいということになる。

今までは完全に眠らせて腫瘍を切除して目覚めなければどうなっているか分からなかった手術。
これを可能にするためには傷つけてはいけない場所がわかればいい。
分かるためにはどうするか。
それを分かるのは患者本人である。
ならば、患者本人から得ればいいではないか。
考えればとても単純なことだ。


もう一人のスーパードクター。
福島孝徳医師といい、現在アメリカでトップの脳外科医をしている。
彼の専門は脳の下にできる腫瘍。
この腫瘍を切除するには頭蓋骨を大きく開けなければならない。
これもまた難しい手術であり、あきらめるケースが多いという。
この福島医師はこの腫瘍の除去を可能にするために新たな手術法を開発した。
「キーホールオペレーション」といい、こめかみのあたりに2センチ程度の穴をあけてそこから腫瘍を除去するというもの。
そうすれば傷つける場所も少なく、出血も少なく、後遺症も減る。
かれはこの技術を確立するために必要な機材をも新たに作り出し沢山の人を救ってきた。
マイクロスコープを開発し、先端が1ミリのカンシも作った。
作れば患者は助かるのだ。


この2人は医学界のパイオニアであるといえよう。
この2人のパイオニアに共通することは、
「人を救うためにはどうすれば良いかを原点に返って単純に考える」
ということ。
そう。すべてをゼロに戻して「単純」に考える。

簡単なように思えて簡単ではない。
人は既成概念をもっているから。
それがあるからなかなか単純に物事を分解して考えることが出来ない。
それがあるから、たとえよい方法を考えても既成概念から結論を出してしまう。
やはり、本当に難しいことなんだ。

私も物を作ったり直したりする仕事をしているけれど、スタンスというかやり方というのは
「良いものを作るために、今てにあるものを最大限に活かす」
というもの。
しかし、パイオニアになり得る人は
「良いものを作るためにはどうするか?ゼロになって考えて方法を見つける。」
という風に考えるのである。
これができる人は本当に少ないとおもう。

なかなか良い番組を見せてもらった。
自分はパイオニアにはなれないけれど、これからは少しでもそういう気持ちをもって仕事をやっていきたいなと思う。

by zima_55 | 2005-02-03 13:34 | TV


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